北緯三十四度の発想
ISBN:9784863870154、本体価格:1,000円
日本図書コード分類:C0095(一般/単行本/文学/日本文学評論随筆その他)
200頁、寸法:148×210×15mm、重量387g
発刊:2011/09

北緯三十四度の発想

【まえがき】
 香川県は往時の讃岐国に明治維新になって小豆島が併合されて生まれた県である。讃岐は古代に四国の一角に誕生しており古事記によると国(くに) 魂(だま) は飯(いい) 依(より) 比(ひ)古(この)命(みこと) だとされている。国魂から言えば米の国を示唆しているのであろう。
 面積は四国の9パーセントという全国で一番小さい県である。可住地は50パーセントを超えており寡雨であるが農業用に多くのため池が築造され風光明媚である。
 北部は瀬戸内海に面していて海浜は白砂青松、長汀曲浦で風光明媚で国立公園が多く占めている。気候は温暖で日本列島の中でもその風土は非常に住みやすいと言えよう。
 緯度は北緯三十四度ラインで国内では高野山から淡路の南端をかすめて東かがわ市、讃岐の中央部を経て三豊市を横切り広島、島根県の南部をかすめ山口の萩市辺りから日本海に抜けている。
 一般的には讃岐から西に行くと伊予をかすめて大分県くらいに思っている人が多い。もっとじっくり自分の県や市の姿を知るべきであるが昔からの学校で学ぶ地図に問題があるのではないか。そこでわたしは長いマスコミ生活時代から実際に歩いて風土をみなくては本当の風土は分からないと思い日本の各地を歩いてみた。それを雑文的に書き雑誌「ことひら」や「れきみん」などにも載せてきた。今回それらの中から讃岐の風土に似合うものを引き出して「北緯三十四度の発想」というタイトルで上梓してみた。
 中国古典にあるように地域を知るにはその地域の風物、人物、産物のつまり「三物」を知悉することが大事と言うことを念頭において選んでみた。何十編の駄文から引き出して掲載したがこれが地域知悉に役立てれば幸甚の至りである。
 地名も見ていくと「香」がついた地名は国内だけでなく中国の香港もそうであるし満蒙開拓団の人々が第二次大戦後に帰国して国内で新たに開拓村を作って努力した鳥取の香鳥開拓村などもある。今回は上梓できなかったが北海道にも讃岐ゆかりの土地がある。いずれの機会にはそういうゆかりの地、あるいは神奈川県の香川村いまは市になっているが鎌倉権五郎ゆかりの地で香川駅というのがあるし面白い。香川村は多度津の香川氏のゆかりといわれており取材もしているが今回は掲載できていない。源内ゆかりの秋田県なども面白いし長野県の源内居というものなども面白い。
  平成23年夏  高松大学生涯学習教育センター長、高松短期大学教授、高松市歴史民俗協会会長 津森 明

【目次】
まえがき
三十四度の発想
森と泉を考える
古典、歴史に見る優しさ労り
桜の話一、二、三、四
瀬戸内の塩梅雑論
驚くべき先見の明
百年先を見通す炯眼
小西和の景観論
小島烏水と小西和
与謝蕪村の来讃
空海の風景
空海の教育理念
讃岐の溜め池
神話も荒唐無稽ではない
往時賑わった酒田の守り神
日和山神社と金毘羅さん
八丈島に金毘羅神社を訪う
出羽の象潟、矢島に遊ぶ
本荘港頭に金毘羅神社を勧請
東北、九州などの金毘羅さん
浦塩、ハバロフスクを歩く
観光振興と地域の知悉
二十世紀最大の工事
キーン博士と讃岐路を行く
工芸学校の父-納富介次郎
やさしさといたわり
表紙/飯野山(標高422メートル)
撮影/越智繁彬(香川学会事務局長)

【著者紹介】
〔著者〕
津森 明