観光地域調査法 GISを用いた実践的調査手法の解説
ISBN:9784863870758、本体価格:2,500円
日本図書コード分類:C3004(専門/単行本/総記/情報科学)
146頁、寸法:148.5×210×7.5mm、重量247g
発刊:2016/06
【まえがき】
最近、外国人観光客、とくに中国人観光客の急速な増加が目立ちます。加えて、中国人観光客の、いわゆる爆買いが話題になっています。お陰で、全国的に観光が注目されるようになりました。それに先立ち、観光を学べる大学も増えつづけ、いまや観光を学ぶことが珍しいことではなくなりました。
しかし、観光教育が体系化されていないまま観光を学べる大学が増加した結果、教育内容をみると、観光を学ぶより体験するレベルに留まっているところが多いようです。理由は観光や地域を調査する方法が確立されていないこと、それによる調査法教育の不在にあると、筆者は確信しています。
すでに外国では20年以上前から重要性が認められてきたGISを用いて、観光地域を調査し、普遍性ある説明ができる調査法を、誰でも習得できるように本書の刊行を考えました。執筆し始め数年が経ち、やっと調査法の基礎本として陽の目をみることになりました。少しでも本書に接する多くの読者が、GISによる観光地域の調査法が習得できることを期待しています。
本書ではQGISが、パソコンOSの種別を問わず利用できる点や、数多いGISソフトの中、ファイル形式や操作性がGISソフトのグローバルスタンダードといえるArcGISに似ている点と、無料で利用できるフリーソフトである点をあげ、第1部では観光や地域を学ぶための基礎知識や調査のための調査法はなぜ必要なのかを、第2部ではGISの基礎知識を、第3部でデータ取得などの関連する知識を、第4部でGISを実際に応用できるのに必要な知識を、実践的に解説していきます。
とりわけ、第2部から第4部までの内容はQGISを用いる調査法の基礎をゼロから丁寧に説明していく構成にしました。理由は、観光や地域について学ぶ学生の多くが文系の学生で、数式苦手、数学苦手、コンピュータ苦手のような傾向が強いことを考えたからです。しかし、現代においてこのような調査手法は文系・理系を問わず、観光や地域の調査のためには、運転免許が文系・理系に関係なく必要な時代になっているように、必要な道具になりつつあります。
本書は文系の読者でも分かるように数式などは一切使わず、実践的に解説をしていくことを試みてみました。
【目次】
=第1部.観光とGIS=
I 観光を取り巻く環境の変化
1 観光形態の変化
2 観光認識の変化
II 観光と観光学
1 観光学の位置づけ
2 観光学の課題
III 観光教育と調査法
1 これからの観光教育への期待
2 調査法の必要性
3 観光地域調査
=第2部.基礎編:GISを知る=
IV GISを知る
1 GISとは
2 GISの歴史
3 GISは道具のひとつ
(1) GISでできること
(2) GISはさらに普及する
V 位置表示とデータ
1 位置表示
(1) 測地系と座標系
2 GISで使うデータ
(1) データの形式
(2) 地図データ
=第3部.発展編:QGISを使う=
VI QGISの特徴
VII QGISの導入
1 QGISのインストールと起動
2 QGIS各部の名称
3 異なるCRS をもつ地図の表示
4 プラグインのインストール
VIII 地図の表示
1 表示方法
2 ファイルの取り扱い
3 ファイル種別の確認
4 CRS の確認
IX データの取得
1 基盤地図情報
(1) ファイルのダウンロード
(2) データの表示
2 国土数値情報
(1) ファイルのダウンロード
3 e-Stat
(1) Web GISの利用
(2) ファイルのダウンロード
4 自分で作成する
X データの変換
1 基盤地図情報センターのデータの変換
(1) ビューアで表示
(2) シェープファイルに変換
=第4部.応用編:GIS分析を学ぶ=
XI レイヤの自作
1 ジオレファレンサー
(1) 位置情報の追加
2 レイヤの作成
(1) ポリゴンレイヤ(地物の追加)
(2) スナップオプション
(3) ポイントレイヤ(ポイントデータの追加)
XII 空間分析
1 ベクタデータ
(1) バッファ
(2) クリップ
2 ラスタデータ
(1) 数値標高モデル(DEM)
(2) 利用準備(プラグインのインストール)
(3) DEM 変換
(4) バーチャルレイヤの作成
(5) クリッパー
XIII フィールド操作
1 フィールド検索
(1) データの表示と抽出
(2) 属性情報の確認
(3) 条件検索
(4) 複雑検索
2 フィールド演算
(1) フィールドの追加
(2) フィールド形式の設定
(3) フィールド演算の設定
3 フィールドの表現
(1) 階級区分
(2) グラフ(ヒストグラム)表示
4 ラベル表示
XIV ファイルのリンク
1 結合
(1) 結合の手順
2 dbf ファイル
(1) 閲覧と編集のために
(2) ファイル形式
(3) dbf 形式とcsv 形式
XV ファイルのエクスポート
1 手順
XVI 地図の表現
1 シンボルの変更
2 ポイントの表現
(1) シンボルの色・大きさの変更
(2) シンボルの図形化
(3) シンボルの区分表示
3 ラインの表現
4 ポリゴンの表現
5 DEM 表示
(1) 香川県DEM の作成
(2) DEM 表示色の変更
(3) 陰影段彩図の追加
XVII 地図の出力
1 コンポーザの考え方
2 コンポーザの使い方
(1) コンポーザの準備
(2) コンポーザの作成
3 マップ表示に必要な記号類
(1) 地図イメージ
(2) 凡例
(3) 方位記号
(4) スケール
(5) その他の記号
4 コンポーザの出力
【図目次】
図IV-1 GISが取り扱うデータ
図V-1 データの形式
図V-2 データファイル
図V-3 GISデータの特徴
図V-4 CSV 形式の88リスト
図V-5 エクセルで開いたCSV 形式の88リスト
図VI-1 QGISトップサイト
図VI-2 QGISダウンロードサイト
図VII-1 QGIS起動画面
図VII-2 QGIS各部の名称
図VII-3 プロパティ設定
図VII-4 プラグイン
図VII-5 プラグイン:Open Street Map
図VII-6 プラグイン起動
図VIII-1 四国4県と四国霊場の表示
図IX-1 基盤地図情報サイト
図IX-2 基盤地図情報ダウンロードサイト
図IX-3 ダウンロードサイト1
図IX-4 ダウンロードサイト2
図IX-5 基盤地図情報ビューア
図IX-6 基盤地図情報ビューアの閲覧
図IX-7 国土数値情報ダウンロードサイト国土数値情報データの変換ツール
図IX-8 国土数値情報1
図IX-9 報変換ツール
図IX-10 変換ツールのダウンロード
図IX-11 変換ツールのインストール
図IX-12 変換ツールの起動
図IX-13 e-Stat
図IX-14 統計GIS
図IX-15 Web GIS
図IX-16 検索:データ
図IX-17 検索:地域
図IX-18 ダウンロードデータの表示
図X-1 エクスポート
図X-2 エクスポートの保存先
図X-3 エクスポートの進行状況
図XI-1 ラスタデータの表示
図XI-2 Open Street Map の表示
図XI-3 georeferencer の起動画面
図XI-4 georeferencer によるデータの読み込み
図XI-5 ポイント指定
図XI-6 ポイント確定
図XI-7 変換設定
図XI-8 位置情報の確定
図XI-9 新規レイヤの追加
図XI-10 ツールバー設定
図XI-11 デジタイズアイコンメニュー
図XI-12 ポリゴンレイヤの追加
図XI-13 地物追加例
図XI-14 地物の拡大
図XI-15 スナップ設定
図XI-16 スナップオプションの設定
図XI-17 スナップ有無の比較
図XI-18 スナップ設定の有効例
図XI-19 東京大学アドレスマッチングサイト
図XI-20 アドレスマッチングサービス
図XI-21 アドレス変換終了
図XI-22 デリミティッドテキストレイヤの追加
図XI-23 四国88 箇所霊場レイヤの追加
図XII-1 空間演算メニュー
図XII-2 対象地物
図XII-3 バッファ
図XII-4 個別バッファ
図XII-5 融合バッファ
図XII-6 バッファの条件設定
図XII-7 クリップの条件設定
図XII-8 データ種別のクリップ結果
図XII-9 差分(クリップ)
図XII-10 統合の設定
図XII-11 DEM 変換用プラグインの追加
図XII-12 DEMプラグインのインストール
図XII-13 DEM変換中
図XII-14 DEM変換の結果
図XII-15 メニューバー:バーチャルラスタの構築
図XII-16 バーチャルラスタ構築の設定
図XII-17 tif ファイルの選定
図XII-18 VRT 進行状況
図XII-19 クリッパー
図XII-20 クリッパーの設定
図XII-21 香川県のDEM
図XIII-1 属性データ
図XIII-2 香川県の学校
図XIII-3 ダウンロードデータの属性情報
図XIII-4 行政コードの確認
図XIII-5 学校コードの確認
図XIII-6 属性データの検索
図XIII-7 検索式の入力
図XIII-8 検索結果(選択地物)
図XIII-9 高松市内の学校
図XIII-10 複数の検索式の入力
図XIII-11 選択地物数
図XIII-12 フィールドのプロパティ
図XIII-13 演算用アイコンメニュー
図XIII-14 フィールド演算機
図XIII-15 フィールドの形式
図XIII-16 編集モード
図XIII-17 レイヤスタイルの設定
図XIII-18 データの表示
図XIII-19 ダイアグラムの設定
図XIII-20 データの表示:棒グラフ
図XIII-21 データの表示:階級区分と棒グラフ
図XIII-22 ラベルの設定
図XIII-23 ラベルの表示
図XIV-1 フィールド定義書
図XIV-2 結合:テーブルの追加
図XIV-3 フィールドのリンク
図XIV-4 結合の設定
図XIV-5 結合フィールドの確認
図XIV-6 結合結果の確認
図XIV-7 結合フィールドによる表現
図XIV-8 高齢者の5 階級区分
図XIV-9 他形式ファイルのインポート
図XIV-10 dbf ファイルの形式
図XV-1 高松市内の学校の保存
図XV-2 高松市内の学校
図XVI-1 ポイントデータの区分
図XVI-2 ポイントスタイル
図XVI-3 シンボルイメージ
図XVI-4 シンボルの条件設定
図XVI-5 シンボルのルール設定
図XVI-6 シンボルのルール設定の確認
図XVI-7 ラインの設定
図XVI-8 ライン設定の変更
図XVI-9 ポリゴンの設定
図XVI-10 DEM バーチャルラスタのレンダータイプの設定
図XVI-11 香川DEM の表示変換
図XVI-12 メニューバー:陰影図の作成
図XVI-13 陰影図の設定
図XVI-14 陰影図
図XVI-15 陰影段彩図
図XVII-1 メニューバー:プリントコンポーザ
図XVII-2 コンポーザのタイトル入力画面
図XVII-3 新規プリントコンポーザ
図XVII-4 コンポーザのアイコンメニュー
図XVII-5 コンポーザの操作メニュー
図XVII-6 コンポーザの完成
図XVII-7 メニューバー:PDF にエクスポート
図XVII-8 凡例の設定プロパティ
図XVII-9 方位設定
図XVII-10 イメージウィンドウ
図XVII-11 スケールバーの設定
図XVII-12 スケールバーの種類
図XVII-13 コンポーザの出力例
【著者紹介】
〔著者〕
金 徳謙