蒼天に架ける フロンティア大久保諶之丞
ISBN:9784863870772、本体価格:2,000円
日本図書コード分類:C0023(一般/単行本/歴史地理/伝記)
184頁、寸法:148.5×210×8.5mm、重量208g
発刊:2016/12
【推薦のことば】元内閣総理大臣 中曽根康弘
常々、私達政治家は民衆の心を体得し、確固とした自分の使命感を持たなければならないと思っています。その上で全力投球をする気力が大切で……政治家の迫力が衰えると国も衰えます。
このことは、どのような分野においても言えるのではないでしょうか。大久保諶(じん)之(の)丞(じょう)という人物も、そんな資質を備えた指導者であったと思われます。
日本は明治維新以来、外敵の侵入を惧(おそ)れて富国強兵、殖産興業で列強に並ぼうとしてきました。地方にあって一大土木事業に挺身する大久保翁も、国益を論じながらなおかつ強兵策に肯(がえ)んずることなく、農業や経済による立国を主張し続けられたことは、まことに先覚者の明であったと申せましょう。
漢学者・安岡正(まさ)篤(ひろ)先生曰(いわ)く、「宰相の姿は、その位には淡々落々として私心がなく、自信を温容で包み、おかしがたい威厳を備えながら、どこかユーモアがあり、しかも一抹の寂しさを含んでいる人物である」と。本書の主人公の影像も、それを彷(ほう)彿(ふつ)とさせるものがあります。
道元師の説く『山(さん)川(せん)国(こく)土(ど)悉(しっ)皆(かい)成(じょう)仏(ぶつ)』のごとく、「共生の哲学」と言いますか、天地と同根、しかも郷土愛に燃えたこの人の心に強く魅(ひ)かれます。
翁は〝坂の上の雲〟を見ることなく早世しますが、百年後の今日、受信基地から発信基地へと変(へん)貌
(ぼう)しつつある四国の、瀬戸大橋の上には、燦(さん)然(ぜん)たる太陽が輝きはじめました。
おごそかや大海光り天明ける
ここに謹んで翁の御功績を偲びたいと思います。
【発刊に寄せることば】元香川県知事 平井 城一
香川県民はもとより、四国の人々の長年の夢であり、念願であった瀬戸大橋は、昭和六十三年四月十日めでたく開通いたしました。この大橋の開通により、四国は離島性を脱し、交通、運輸は言うに及ばず、産業、経済、観光、文化などあらゆる面で飛躍的な発展が期待される輝かしい「瀬戸大橋新時代」の幕開けを迎えました。
この新時代の到来を今から百年も前に予想したのが、郷土香川が生んだ偉大な先覚者大久保諶之丞であります。明治二十二年、讃岐鉄道開通式において、本州四国間の架橋という当時としては驚嘆に値する雄大な構想を提唱したのであります。
今年は本県にとって、瀬戸大橋元年、置県百年という記念すべき年であります。このような時に当たり、私どもは、〝四国は一つ〟という理念のもと地域開発に情熱を傾けた大久保諶之丞の姿勢から多くのことを学び取り、今後の郷土の発展に生かしてまいらなければならないと、心を新たにするものであります。
このたび、郷土出身の梅谷徹哉さんによって、大久保諶之丞の生涯と偉大な業績を記した本書が刊行されますことは、誠に時宜を得た、意義深いことであると存じます。本書が、県民はもとより、全国の方々に広く愛読され、郷土の誇る大久保諶之丞の地域開発に捧げた情熱と卓見とその業績が、多くの人々に伝えられ、顕彰されますことを念願してやみません。
【内容紹介】
大久保諶之丞は、広い視野と将来を見通す卓抜した先見の明、そして並々ならぬ実行力をもって、郷土香川だけでなく四国の開発にその人生を捧げた政治家です。地元住民などの強い反対運動に正面から立ち向かい、生涯をかけ、私財も投じて取り組んだ讃岐新道、四国新道の建設だけでなく、讃岐鉄道、北海道開拓移住など数多くの公益事業の中心となっています。また本四架橋や、水不足に苦しんできた香川県民が大きな恩恵を受けている香川用水を時代に先駆けて提唱するなど、その功績は燦然と輝くものがあります。
【目次】
推薦のことば 元内閣総理大臣 中曽根康弘
発行に寄せることば 元香川県知事 平井 城一
夢の架け橋
猪ノ鼻の叫び
燎原の火
病いに主なし
金比羅でこの旗
北斗の星
すり切れた草鞋
麦は死なず
陣 痛
狼煙はあがる
別離の人びと
一期一会
妻帰る
内憂外患
夜明け前
駆けぬけていく男
さいはての国
天翔ける夢
討ち入り前夜
エピローグ
あとがき
【著者紹介】
〔著者〕
梅谷 徹哉