大和真秀ろば「弥生の王都」・「古事記の里」
ISBN:9784863870963、本体価格:1,200円
日本図書コード分類:C3021(専門/単行本/歴史地理/日本歴史)
172頁、寸法:148×210×9mm、重量252g
発刊:2018/11
【内容紹介】
田原本町は青垣の山々に囲まれた大和盆地の中心にあり、大和真秀ろばのへそである。平安中期まで、町の中央を南北に下ッ道(藤原京と平城京を結ぶ官道)が走り、平安末期、寺川の河川敷(多~八尾)となる。寺川と並進して、国道24号と近鉄橿原線が走り、今昔を問わず、交通の要地で、近世には、寺川の今里は「大和の大坂」と言われ、米の集散地であった。国道沿いに、唐古池(江戸時代造成)があり、私たちを弥生の里に誘うかのように、楼閣が建ってる。池の堤に春には桜の花が咲き、秋には黄金の稲穂が波打つ。
唐古・鍵遺跡は、大和の大環濠の拠点集落で、平成30年4月17日に、唐古・鍵遺跡史跡公園としてオープンした。公園内には、第74次調査の大型建物跡が再現されている「遺構展示情報館」や集落を囲んでいた環濠を復元した多重環濠、大型建物跡の立て柱、大井戸等が再現されている。楼閣は絵画土器をもとに復元されたもので、屋根に渦巻き模様の飾りが付いていて、「弥生の王都」としての風格がある。楼閣が朝霧につつまれた幻想の風景は、悠久の歴史を物語っている。
この公園の東には中ッ道が走り、初瀬川が流れる。池の堤からは、若草山、龍王山、三輪山、大和三山、金剛山、葛城山、二上山、信貴山、生駒山の山々が見渡せる。その風景は青い垣根のようである。この青垣の山々に囲まれたこの地は、日本の聖地である。
そして、唐古・鍵考古学ミュージアムがリニューアルし、今年の三月に新たに国の重要文化財に指定された遺跡の出土品が展示されている。土器に描かれた絵画は弥生人のメッセージである。「弥生時代の環境や生業」や唐古・鍵遺跡の周辺遺跡や纏向遺跡について触れ、地域との繋がりをテーマとしている。田原本青垣生涯学習センターの唐古・鍵考古学ミュージアムは、国の重要文化財の出土品が展示され、「弥生の王都」の宝庫である。重要文化財の出土品は、「絵画土器は語る『魏志倭人伝』」「弥生人のメッセージ」である。唐古・鍵遺跡と纏向遺跡との繋がり、弥生時代の中国、稲作の伝播、神武の東征、倭国の大乱、卑弥呼の共立について、『魏志倭人伝』や『古事記』『日本書紀』から考察する。絵画土器(ゴンドラ形準構造船)・製塩土器・特殊器台・双方中円墳の楯築王墓等、さらに、水主神社・田村神社・吉備津神社・楽々福神社等から、弥生時代の倭国、「吉備・讃岐と大和」の関係を紐解いていくこととする。
町の南西部に太安萬侶のふるさと・多神社がある。『古事記』の神話の部分は「弥生時代の物語」とも言える。『古事記』は変体漢文体で記されていて、「やまと言葉(日本語)」を残した太安萬侶の功績は大きい。『古事記』のなかには、日本人・日本民族のアイデンティティがあり、悠久の和魂(日本人固有の精神)「やまとごころ」が育むまれている。「二部作」として、『太安萬侶伝』(対話形式)を発刊できたことは幸せである。田原本町は大和真秀ろば「弥生の王都」「古事記の里」で、日本文化の発祥の地であり、日本人の心のふるさとである。
【目次】
第1章 大和真秀ろば唐古・鍵遺跡「弥生の王都」
1 唐古・鍵遺跡「弥生の王都」への稲作の伝播
2 弥生時代の倭国と魏・呉・蜀の三国
3 『魏志倭人伝』の倭国の邪馬臺国・女王国への行程
(1)帯方郡から邪馬臺国までの行
(2)方位と「東遷説」・倭国連合共立体制
(3)「投馬国」は「吉備・讃岐」、「邪馬臺国」は「河内・大和」
4 倭国の大乱と倭国の西日本への勢力拡大
5 大和 真秀ろば「弥生の王都」
6 絵画土器は語る『弥生人のメッセージ』
(1)渦巻き飾りの楼閣・「弥生の王都」
(2)手を挙げる鳥装の巫女(神子)
(3)ゴンドラ形状の大型外洋準構造船「清水風遺跡」
(4)船尾で航海を祈る「持衰」
(5)壷の記号・文字・絵と銅鐸の絵
7 環濠集落 「唐古・鍵遺跡」の周辺
8 唐古・鍵遺跡 「弥生の王都」から纒向王宮へ
9 炉跡状遺構の工房跡(銅鐸文化圏・銅鐸祭祀用として大型化)
10 『記紀』の「倭迹迹日百襲姫命」は卑弥呼
11 倭迹迹日百襲姫命の衣装・装飾品
12 鬼道と褐鉄鉱容器の鳴石・桃の種
13 『魏志倭人伝』に記された倭人の風俗
14 「唐古・鍵遺跡」「纏向遺跡」の広域交流
15 『記紀』と弥生時代の倭国(稲作(遠賀川式土器)の東進と神武の東征)
16 「弥生時代の船」・「製塩土器」(古代の製塩)と讃岐
17 まとめ(「弥生の王都」から「倭国の王都」へ)
第2章 大和 真秀ろば 「古事記の里」
1 多神社と太安萬侶の本貫地
2 意冨加牟豆美命(桃の実)は青人草(人間)の守り神
3 桃太郎生誕の地・「黒田廬戸宮」
4 鏡作神社と伊斯許理度売命と鏡作部
5 大物主命(大神神社)と少名毘古那命(天神社)
6 村屋神社のご神託と壬申の乱
7 秦楽寺と秦河勝と空海、秦明高と法貴寺、池神社
8 能の大成者・世阿弥の参学之地・終焉の地・「補巌寺」
9 「下ッ道」・「太子道」・「中街道」と楽田寺
10 賤ヶ岳の七本槍・平野長泰と浄照寺
第2部『太安萬侶伝』
『日本書紀』の年代と「歴史上の事実(史実)」の年代の相関関係表(付録)
【著者紹介】
〔著者〕
石井 正信