山の上の寺を目指した脳外科医
ISBN:9784863871366、本体価格:1,300円
日本図書コード分類:C0023(一般/単行本/歴史地理/伝記)
118頁、寸法:148.5×210×8mm、重量203g
発刊:2020/09

山の上の寺を目指した脳外科医

【はじめに】
 この文は脳神経外科医として約40年間、主に大学病院で働き、退職後に香川県厚生連理事長、香川大学長と紆余曲折の人生を過ごしてきた私が、折々に触れ感じたことを旧い想い出とともに書き記したものです。
 今、新型コロナウイルス感染症の世界的流行に人々の行動は制限され、産業も危機的状況にまで低迷しています。その様な毎日の中で、医師・教員そして組織運営者として歩んできた自分史を顧みるのも、心のストレスを和らげ、次世代の若者に何か参考になるのではと考えたのでした。
 医学部を志望している若者も多くいますが、医療の現場はTVや漫画で描かれる刺激的で魅力が一杯、わくわくさせる出来事は少なく、むしろ心身のタフさが求められます。多様なニーズの患者さん対応、病める人々の心に沿う精神的な強靭さ、医療者との連携等、困難な日常がある事を知るのも大切だと思います。
 人様の命・健康と対峙する医師には、宗教と哲学そして科学に裏打ちされた正確な医学知識と卓越した技量が要求されます。私の経験では毎日が学修で、それは一生続くものであり、常に一歩ずつ石段を登って行かないとそれらの素養は本物になりません。多くの患者さんの人生から、また終末期から、人の生き様の哲学と宗教を学ばせていただいたように思います。私なりに苦労し苦難の道を歩み、時には谷へ、時には思わぬ方向へさまよった人生の軌跡でありました。
 「すべては後輩のために」を信条に歩んだ私の道を、少しでも共有する事の出来る読者が多いことを願っています。
 本文中には、私の幼少期から家族、小中高校生の思い出、大学生時代のたわいもない話、留学の時のよもやま話そして四国遍路旅への想いなども記していますが、全てが今の私を形作った糧なのです。読了後には、そういう事もあったのかと納得いただけると思います。斯くして、老医師の生を受けた時からの時間は過ぎていったのでした。

【目次】
はじめに
1.私の生い立ちと家族
2.小中高等学校時代
3.大学生時代
4.脳神経外科医を目指して
5.米国留学へ
6.指導医としての経験
7.臨床の現場
8.基礎および臨床研究について
9.香川大学医学部附属病院長の時代から
10.香川県厚生連理事長時代
11.香川大学学長時代
12.山の上の寺々:ある脳外科医の四国遍路旅
おわりに

【著者紹介】
〔著者〕
長尾 省吾