あわ/さぬき「借耕牛探訪記」
ISBN:9784863871564、本体価格:3,000円
日本図書コード分類:C0039(一般/単行本/社会科学/民族民俗)
156頁、寸法:210×297×9mm、重量552g
発刊:2022/01

あわ/さぬき「借耕牛探訪記」

【発刊に寄せて】
 阿讃の峠を越えて 香川民俗学会会長  西山 市朗
 この度、香川民俗学会の会員の冨田紀久子さんが、長年の研究成果を『あわ/さぬき 借耕牛探訪記』として上梓されましたので、ご紹介いたします。
 冨田さんは女子美術大学卒業後、デザイナーとして活躍中「借耕牛」に出会い、一人でコツコツと阿讃の峠を越えて現地取材をし、ついに、塩江の竹藪の中での牛の墓の発見がきっかけとなり、借耕牛(カリコ)の絵画制作にも着手されたと聞いております。
 香川民俗学会は発足して50年を迎えました。冨田さんは入会後10年、毎年のように学会で研究発表をし成果を問い、学びを深めてきました。30年の長きにわたって阿讃の峠を歩き、越え、その土地土地の人々の協力を得て、江戸時代中期から昭和40年代まで250年にわたって行われていた借耕牛の調査・研究を続けてこられました。今では風化し伝説・昔話のようになってきている借耕牛についての絵画を出品され県展で入選もされました。また、絵巻物、紙芝居にして個展を開かれたり、講演にと地域で精力的に取り組まれています。最近38番目の牛の墓を見つけることができたのを機に、新型コロナウィルス禍の下で成果をまとめられました。
 多くの人に借耕牛について知って欲しいという冨田さんの熱き想いは、貴重な資料と共に後世に伝えていかれると思います。

【目次】
発刊に寄せて ―阿讃の峠を越えて― 香川民俗学会会長 西山 市朗
▼ 絵巻物阿讃のちょつと昔話
▼ 紙芝居カリコと少女
▼ 我が心の原風景「カリコ」
▼ 借耕牛に魅せられて
▼ 借耕牛の「南限」 ―美馬郡一宇(いっちゅう)村へ
▼ 私的「カリコ」探訪記 ―宝貴山大福院
▼ 猪熊佳孝氏 カリコ牛追いから百五十歳への歩み
▼ 讃岐の女馬喰(おんなばくろう) ―塩江
▼ 借耕牛を描く〈1〉 ―まんのう町文化祭に
▼ 借耕牛絵物語〈2〉 ―さぬき春秋
▼ 個展「カリコと少女」 ―琴平町立ギャラリー個展
▼ 阿讃&借耕牛、わが愛〈3〉 ―琴平・牛屋口峠
▼ 未踏を行く野呂内地(のろち)、曼陀峠(まんだとうげ)
▼ 神に護られ、越える三頭峠
▼ 絵画 驟雨のイヴ4部作(峠に咲く山百合)
▼ 私を呼んだ、借耕牛 なぜ何故ものがたり
▼ 最後の馬喰(ばくろう) 馬喰四代記
▼ 牛の墓参り(10地域、38基)
  塩江/綾川・郷東/香南・円座/庵治半島/下笠居・香西/大野・東植田
▼ 借耕牛なぜ何故ものがたり
▼ あるく・みる・きく描く書く話す
▼ 新聞記事掲載
▼ 第一回個展「借耕牛をめぐる風景」サンポート高松にて
▼ 絵画(さぬき春耕図)他
▼ おわりに

【著者紹介】
〔著者〕
冨田 紀久子