近想遠望V-ある脳外科医の残日録-
ISBN:9784863872028、本体価格:1,500円
日本図書コード分類:C0023(一般/単行本/歴史地理/伝記)
106頁、寸法:148.5×210×7mm、重量191g
発刊:2025/02
【はじめに】
藤沢周平氏の名作に「三屋清左衛門残日録」という作品があります。主人公は前藩主に用人として重用された切れ者で、剣の腕も立つ。隠居暮らしであるが、色々な事件に巻き込まれその人徳・才知や剣で解決する人間味あふれた物語です。その主人公の日記に「日残りて昏るるにまだ遠し」の一文が、毎回達筆で記載されています。この一文に触発され、自分なりの残日録を書いてみたくなりました。
私は82歳で人生の黄昏期を迎えましたが、まだ往生しきれない凡人です。職業病(脳外科医として幾多の手術に立ち会い、数時間以上の顕微鏡下の手術も多くこなし、体動なく体重を腰で受け止めてきた)と思っているが、足腰の痛みで遠出は無理ですが、それなりに健康には気づかいをし、11回目の四国遍路結願を目指して巡拝を続けています。あと何回桜花を見ることが出来るかと希望を抱いて……。
これまで諸々の人生の記憶や感想を書き記してきましたが、今回は肩の力を抜いて、人生記の中でも思わず微笑む話、あるいは終末期の看護師の在り方・高齢者の時間の過ごし方、そしてこの国の将来を考えてしまうような話題に触れたいと思います。まさに「近想遠望」最新の心境です。
【あとがき】
看護師のあるべき姿についてご教示いただいた真言宗総本山善通寺法主菅智潤師、ならびに私の人生ですべての面でご教授頂いた皆様に心から感謝申し上げます。
本文中にはすでに過去の拙著で記しましたエピソードもいくつか入っていますが、私の医療に対する考え方や「生命」への尊厳を再確認するのに是非必要であったからです。その作業が「私の残日録」を記す目的でもありお許しいただきたいと思います。
【目次】
はじめに1
第1章
1.歴史は繰り返す―小児期の思い出
2.小学校同級生の重症頭部外傷
第2章 アメリカの生活から
1.厳寒のシカゴと25セント
2.拳銃と警官
3.確率0.01%
4.思い出のイリノイ大学図書館
5.アイ アムストレート
6.息子の英語
第3章 中国を旅して
第4章 臨床の現場から
1.今も医学部は「白い巨塔」なのか
2.セカンドオピニオン
3.3歳の記憶と認知症
4.神経細胞の再生
5.信じ難いことが起こる臨床の現場
第5章 終末期医療の看護師の役割
1.私の家族の経験から
2.看護と宗教
第6章 近頃思う事
1.世界の将来は果たして?
2.変質しつつある日本人の美徳
3.オーバーツーリズム
第7章 老いは新たな未来
第8章 私の料理教室
第9章 おわりに
あとがき
【著者紹介】
〔著者〕
長尾 省吾