物類品騭の研究
ISBN:9784863871175、本体価格:2,500円
日本図書コード分類:C3040(専門/単行本/自然科学/自然科学総記)
242頁、寸法:157×216×19mm、重量479g
発刊:2020/05

物類品騭の研究

【序】
〔貴重な農業技術史の一場面〕
 「物類品騭(ぶつるいひんしつ)」の物類は本草学の対象で薬用となる植物、薬草をはじめ、薬物として用いる動植物、鉱物の総称を意味している。また、「騭」はしつと読み意味は持ち上げることで、品は品質を評価するという意味になるでしょうか。香川(讃岐)が生んだ天才・平賀源内は幼少時より才能を発揮し、13歳の頃から藩医のもとで本草学と儒学を学んでいます。その後大阪、江戸で本格的に本草学を学んで力をつけ、江戸で物産会・薬品会を師の田村藍らんすい水と共に2回、その後1759年から3回自ら物産会・薬品会を主宰している。
 著者の松井博士は長年園芸作物の加工・利用に関して研究・教育をしてこられ、学会に発表された業績もきわめて多く、其界の権威者の一人である。博士は若い時からポスドクなどでカナダや米国の大学でも研鑽を積まれた、食品化学のエキスパートであり、香川大学においては徳島・香川の特産品である和三盆糖の製造過程とその品質について長年研究され、博士論文に「和三盆糖の食品学的研究」という題目で、その成果をまとめられている。博士は「物類品騭」に出会われ、その中に含まれた「甘蔗培養幷に製造の法」に気付き、これ以外の江戸時代の穀類、野菜、果実等の食材、薬草、岩石などについて註解し検討を加え、放送大学香川学習センターで講義をし、また「農業及び園芸」あるいは「伝統食品の研究」などにそれらを掲載されてきている。
 日本人は極めて知識欲が旺盛で、中国から伝わった本草学などの知識もそのままでなく、日本での栽培・利用などの知見を加え、「大和本草」、「蔗物類纂(るいさん)」、「本草綱目啓蒙(けいもう)」など多くの書籍が著されている。この江戸時代の「物類品騭」を現代の農芸化学・食品学の素養を持つ松井博士により、この記述に現代科学の立場から精査され、解説されている本書は極めて適切な内容となっている。この意味で本書は特用作物、園芸作物関係の方々ばかりでなく、農作物の栽培と利用に関係を持たれる方々にも広くお勧めでき、また読んでいただきたい本である。
   令和元年10月 京都府立大学名誉教授  藤目 幸擴

【おわりに】
 本書の出版にあたり、序文を賜りました京都府立大学名誉教授 藤目幸擴先生に深謝申し上げます。
 この本を出版するきっかけは、“和三盆糖の食品学的研究”の文献調査中に、砂糖に関する論文や古文書を読み、“甘蔗培養幷に製造の法”に興味を持った事に始まった。
 香川大学・定年後、放送大学、客員教授をしながら県立図書館で「物類品騭」を借り出して、注釈と検討を試みた。その中の巻之一から巻之五は、江戸時代の穀類、野菜、果実等の食品素材、薬草、岩石等にも詳しく現在のルーツと考えられたので合わせて検討した。
 この本の大部分は、2011年から2019年まで「伝統食品の研究」と「農業及び園芸」に掲載された物をまとめたものである。
 その間、香川県立図書館の司書の方々には文献検索や助言を頂き感謝いたします。
   令和2年5月30日 喜寿を前に  松井 年行

【物類品騭の研究総目録】

物類品騭序(図1-1~3)
物類品騭の凡例
〔巻乃一〕
〈水部〉
薔薇露
〈土部〉
白堊
鳥古瓦

釜臍墨
百草霜
石鹸
〈金部〉

砂金
金礦

銀礦
赤銅
假鍮石
自然銅
銗石
銅礦石
銅青
粉錫
密陀僧
古文銭
〈玉部〉
珊瑚
海松
馬瑙
宝石
水精
雲母
雲胆
雲砂
白石英
黒石英
紫石英
〔巻乃二〕
〈石部〉
丹砂
水銀
水銀粉
粉霜
銀朱
雄黄
雌黄
石膏
理石
長石
方解石
滑石
冷滑石
斑石
松石
白石脂
黄石脂
赤石脂
炉甘石
無名異
画焼青
石鍾乳
孔公孽
殷孽
石牀
石花
土殷孽
石髓
地脂
石脳油
石炭
石灰
水龍骨
石麪
暈石
石芝
慈石
玄石
代赭石
禹余糧
太一余糧
空青
曽青
鍮石
緑青
扁青
仏頭青
ベレインブラーウ
石胆
礞石
花乳石
金牙石
銀牙石
金剛石
石弩
薑石
石蟹
石蛇
石蚕
食塩
戎塩
光明塩
鹵鹹
凝水石
緑塩
塩薬
水消
火消
磠砂
蓬砂
石硫黄
水硫黄
礬石
緑礬
黄礬
石柏
石梅
試金石
化石
カナノヲル
ロートアールド
ポツトロート
コヲルド
ペレシピタアト
ヒッテリヨウルアルビイ
〔巻乃三〕
〈草部〉
甘草
黄耆
人参
沙参
羊乳
薺苨
桔梗
黄精
萎蕤
知母
肉蓯蓉
列当
赤箭天麻
白木
蒼木
巴戟天
百脈根
淫羊藿
仙芽
玄参
地楡
紫草
三七
黄連
黄芩
秦艽
防風
延胡索
貝母
山慈姑
細辛
釵子股
白芷
補骨脂
鬱金
蓬莪茂
茉莉
薄荷
石薄荷

角蒿
洎夫藍
胡盧巴
麻黄
地黄
麦門冬
鴨跖草
欵冬
決明
車前
馬鞭草
鼠尾草

海根
蒺莉
地楊梅
紫花地丁
見腫消
大黄
〓茹(艹閭)
草閭茹
大戟
沢漆
甘遂
続随子
莨菪
常山
臭梧桐
土常山
藜蘆
木藜蘆
附子
鳥頭
白附子
由跋
半夏
芫花
醉魚草
莽草
茵芋
五味子
使君子
牽牛子
天茄子
旋花
藤長苗
墻蘼
木香花
栝桜
王瓜
天門冬
百部
野天門冬
何首鳥
萆薢
菝葜
土茯苓
白蘞
山豆根
釣藤
忍冬
南藤
紫藤
香蒲
萍蓬草
沙箸
石帆
石斛
麦斛
骨砕補
巻柏
地柏
含生草
玉柏
石松
百草灰
胡菫草
天芥菜
覇王樹
覇王鞭
金絲桃
金絲梅
平地木
水木犀
ローズマレイン
ケルフル
イケマ
〔巻乃四〕
〈穀部〉


旱稲

薏苡仁
粳〓(米感)
罌子粟
緑豆
豌豆
〈菜部〉

桜葱

蕪菁
萊菔
生薑
邪蒿
恭菜
萵苣
蒲公英
百合

冬瓜
絲瓜
苦瓜
番椒
〈果部〉
木瓜
胡桃
橄欖
阿勃勒
羅望子
呉茱萸

皐葦
甜瓜
瓜蔕
西瓜
甘蔗
〈木部〉


鳥薬
楓樹
質汗
篤耨香
胆八香
盧会
檗木

秦皮
皂莢
肥皂莢
椶櫚
相思子

枸橘
酸棗
蕤核樹
山茱茰
女貞
水蠟樹
枸杞
牡荊
紫荊
紫珠
扶桑
蝋梅
虎刺
木綿
海桐花
多羅
琥珀
鳳尾竹
方竹
竹黄
〓(殹王)
雷丸
〓竹(竹菫)
苦竹
淡竹
キヨルコ
サツサフラス
エブリコ
ルザラシ
〈蟲部〉
蟲白蝋
紫鉚
石蚕
斑蝥
芫青

衣魚
蝸牛
〈鱗部〉
龍骨
龍歯
龍角
紫梢花
鼉龍
蛤蚧
〓蛇骨(虫冉)
鱧魚
魚虎
海馬
海牛
〈介部〉
蠵亀
瑇琩
牡蠣

馬刀

石決明
鰒魚
貝子
紫貝
海鏡
壁虎魚
〈獣部〉
水鼠
〓鼠(鼵)
香鼠
〔巻乃五〕
〈図絵〉
甘草(図3-1)
朝鮮種人参四図(図6-2、6-3、6-4)
漢種黄精(図3-5)
肉蓯蓉(図3-5)
赤箭天麻(図3-6)
巴戟天(図3-6)
仙芽(図3-7)
漢種延胡索二図(図3-)
漢種細辛(図3-)
漢種補骨脂(図3-12)
琉球産茉莉(図3-12)
洎夫藍(図3-13)
漢種〓茹(図3-13)(艹閭)
蝦夷種附子(図3- 14)
漢種使君子(図3-15)
琉球種天茄子(図3-16)
漢産木香花(図3-17)
漢種百部三種(図3-18、3-19)
山豆根(図3-20)
漢産楓樹(図4-7)
胆八樹(図4-8)
漢種橄欖二図(図4-2)
台州種鳥薬(図4-7)
漢種蕤核樹(図4-8)
漢種檀香梅(図4-9)
蠻種木綿樹(図4-10)
蠻産木綿殻(図4-10)
漢産鱧魚(図4-13)
蠻産蠆(図4-11)
〓鼠(図4-11)(鼵)
蠻産鼉龍(図4-12)
蠻産蛤蚧(図4-12)
石芝(図2-1)
〔巻乃六〕
〈附録〉
人参栽培法
甘蔗栽培と砂糖製造法
朝鮮種人参試効説

おわりに

【著者紹介】
〔編集者〕
松井 年行

【内容紹介】
『物類品隲』(ぶつるいひんしつ)、平賀源内(ひらがげんない)著、1763年(宝暦13年)
本文4巻、産物図絵1巻、付録1巻の計6巻からなる博物図鑑である。
品隲(ひんしつ)とは、事物の優劣や品質などを論じ定めること。
平賀源内(1728~79)は江戸中期の本草(博物)学者、蘭学者、医者、作家、画家などとしても知られる。
平賀源内は、讃岐の人で名を国倫、号を鳩溪といい、風来山人とも称した。
『物類品隲』は、平賀源内らが1757年から5度にわたって開いた薬品会(物産展)の中から360種を選び、産地や解説を加え、35才の時に刊行した。
第5巻の産物図絵は本文の珍品36種を選んで図示。
付録の第6巻は朝鮮人参・甘蔗の栽培法と精糖法を述べた。