神力丸の羅針盤 マドロス母ちゃんの大波、小波
ISBN:9784863872004、本体価格:1,000円
日本図書コード分類:C8723(児童/絵本/歴史地理/伝記)
40頁、寸法:218×278×8mm、重量500g
発刊:2025/06
【あとがき】
この絵本の誕生の裏には、2冊の試作絵本がありました。文章の推敲を重ねていた最中の令和6年7月、私の母マスエが96歳で他界しました。その前年、母の人生を綴った絵本の試作を1冊プレゼントしました。もう1冊は私が持っています。私が文章を書き、絵は谷川夏樹さんに描いていただきました。
母は広島で被爆し、その後、私の父と「父ちゃん、母ちゃん船」の機帆船に乗り、家業を護り、さらに兄と私が経営する会社の船に還暦の歳まで乗り続けました。まさに、女性船員の先駆けであります。
谷川さんから、「母への絵本を子ども向けに再編集し、世の中の人たちにも広く知っていただいてはどうか」と提案があり、私も戦争のことなどを知っていただけたらと思い出版することにしました。
この絵本には、平和、内航女性船員、家族の絆の3つのテーマがあります。是非、ページをめくっていただきたいと思います。
三原康作
【あとがき】
三原康作さんにはじめてお会いしたのは、2015年ごろでした。当時、福音館書店の月刊絵本かがくのとも「かもつせんのいちにち」執筆のため、一般貨物船の船長の仕事ぶりを取材したいと考えました。そこで、知人で船長として活躍されていた寺田美夏さん(絵本に登場)を通じて三原汽船さんをご紹介いただき、三原さんに貨物船「みつひろ7」への乗船取材をご快諾いただきました。おかげさまでその絵本は2018年に完成し、大きな反響を呼びました。
その後プライベートで三原さんとお会いしたある日、三原さんが今回の絵本の元になった文字原稿草案を見せてくださいました。物語は太平洋戦争直後の広島からはじまり、お母様自らが機帆船の舵をとり家族の生活を支え、やがて現在の三原汽船さんへと成長をとげていく様子が丁寧に綴られていました。
この物語には社史にとどまらず、戦争、多様性社会、内航海運の発展など様々な社会的メッセージがこめられていると思います。今回、微力ながら挿絵を担当させていただき大変光栄です。
この絵本を通じて、三原さんの思いが多くの人に伝わることを切に願います。
谷川夏樹
【著者紹介】
〔著者〕
三原 康作
〔イラスト〕
谷川 夏樹