教えて先生!子どもの健康・体力づくりトピックス
ISBN:9784863872035、本体価格:1,500円
日本図書コード分類:C3075(専門/単行本/芸術生活/体育スポーツ)
136頁、寸法:148.5×210×7mm、重量210g
発刊:2025/02
【はじめに】
現代の子どもたちを取り巻く環境や社会は、テクノロジーの進化や生活の便利さが進む一方で、運動不足や食生活の乱れなどが大きな問題となり、子どもの健康や体力に対する懸念が高まっています。
このような子どもの健康や体力に関する課題解決をめざして、私は、2018年4月7日(土)から定期的に四国新聞の紙面において、医科学的・運動学的な視点から話題を提供してきました。本書は、これまで四国新聞に連載してきたものの中から抽出し、再度アレンジを加え5つの章にまとめたものです。保護者、大人、子どもの成長を支えるすべての方々に子どもの健康・体力について、さらなる理解と関心をもっていただくためにトピックスとして、紹介させていただきました。なお、2020年1月15日に日本で新型コロナウイルス感染症の初めての患者が発生した直後でもあり、第5章では、コロナ禍での子どもの健康・体力づくりについても言及しています。
子どもの健康づくりは、ただ運動をすることだけでなく、日々の食事や睡眠、心のケアなど、さまざまな要素が密接に関わっています。本書では、それらをバランスよく取り入れるための実践的なアドバイスやエクササイズ、生活習慣の改善方法等についても解説を試みました。そして、子どもの健康・体力づくりは、子どもの発育・発達を支える大切な柱です。遊びやスポーツを通じて、子どもたちが楽しみながら体を動かし、心身ともに健やかな成長を遂げることができるよう、本書がその一助となることを心から願っています。
【あとがき】
私には、2人の孫がいます。幼児期の孫と遊ぶとき、自分の小さいときを想いだすことがよくあります。私の頃は、道路も舗装されていない時代であり、自然豊かな環境ですくすく伸び伸びと育った頃で今のような室内でテレビゲームをすることもパソコンや携帯もなく、遊ぶのは、決まって屋外でした。近所の子どもたちと夜暗くなるまで遊具もほとんどない空き地などで思いっきり遊んでいました。現代の子どもたちの遊ぶ環境は、大きく様変わりしており、屋外で遊ぶ場所も限られ、コロナ禍以降多人数で遊ぶ姿を見ることも少なくなっているように思います。もっぱら室内での個人的なゲーム等の遊びが多くなり、遊びを通した人との関わり方も変化しています。幼少年の子どもを持つ保護者の方々も同様な時代を経験して来ており、親子で体を使った遊びをすることも少なくなってきているように感じます。
本書は、子どもに向けてというよりもむしろ保護者や大人に向けてのメッセージの意味を込めたものになっています。現代の子どもの日常生活や運動習慣を左右するのは、私たち大人だと思います。子どもの健やかなる成長の基盤となるのが、日々の規則正しい健康的な生活であり、心身の発育・発達を支える健康・体力づくりに他ならないのです。このことを私たち大人は、常に胸に刻んで忘れないようにしたいものです。
特に子どもにとって、保護者は、「安心安全の土台」であり、「伴走者」です。「安心安全の土台」とは、子どもを自動車に例えるならば、保護者は、自動車を動かすエンジンの潤滑油となるエンジンオイルの役目です。子どものエンジンがしっかり働くようにエンジンオイルの補充を適切にすることが重要になります。また、「伴走者」とは、自動車の助手席に座り、子どもの運転を見守り、共感したり、時にはアドバイスできる関係性を大切にするということです。
【目次】
はじめに
第1章 子どもの健康づくりを観る
2017年版「子どものからだの調査」~心身の防衛力 低下顕著に~
2020年版「子どものからだの調査」~ネット・ゲーム依存顕著に~
「歩育」~歩いて心と体鍛える~
子どもの脊柱側彎症~発症多い思春期や女子~
生活リズムを整えよう~「運動・栄養・休養」のバランスも大切~
子どもの夏バテ~脱水症状になりやすく~
運動習慣と精神衛生~週1回でも体動かそう~
朝食の大切さ~「早寝早起き朝ごはん」を~
乳幼児期の食習慣~健康や認知発達に影響~
睡眠の良しあし~疲れや気分に大きな影響~
秋冬に流行する三つの感染症~「手洗い、うがい、換気」の実践を~
第2章 子どもの体力づくりを視る
子どもの体力に関する生活状況調査①~睡眠習慣と大きく関係~
子どもの体力に関する生活状況調査②~運動習慣と強い関係~
子どもの体力に関する生活状況調査③~テレビ視聴時間と相関~
子どもの体力に関する生活状況調査④~食習慣との関係明らか~
好きこそ物の上手なれ~運動好きほど体力向上~
体育が楽しい児童生徒の割合~中学では2割ほど減少~
Kagawa体力番付①~学校別ポイントを競う~
Kagawa体力番付②~学校全体で取り組もう~
さぬきっ子チャレンジカード①~目標設定し運動を習慣化~
さぬきっ子チャレンジカード②~特性踏まえ体力アップを~
全国体力テスト~基本は筋力と持久力~
成長段階に応じた体力作り~小学期に体の使い方習得~
親子でペアエクササイズを!~楽しみながら体力増強~
第3章 子どもの成長と運動発達を探る
幼児期の身体活動や運動遊びの意義~豊かな人生の基盤に~
非認知能力~幼児から学童期に育む~
スキャモンの発育曲線~成長段階に合った運動刺激を~
幼児期の運動習得の仕方~反復、模倣、表象の三つ~
幼児期の成長と遊び~幼児期に身に付けておきたい36の基本動作~
幼児期の運動遊び①~多様な動きで感覚磨こう~
幼児期の運動遊び②~冬場も親子で体動かそう~
アクティブ・チャイルド・プログラム~基礎的な動作を磨く~
じゃんけんゲーム~親子で熱中・絆深まる~
運「脳」神経~6~12歳が絶好機~
ゴールデンエイジ理論~8歳までの基本が重要~
格好良く動くには~六つのポイント押さえる~
第4章 子どもの生活・運動環境を考える
子どもの五感~日常生活の中で鍛える~
子どもの運動環境~幼少から体使う喜びを~
プレイパークから学び生み出す~やる気を学校や地域で支え~
眼精疲労を防ごう~PC、スマホで負担増大~
運動時の熱中症対策~梅雨明けは特に注意~
熱中症予防五カ条~夏場の運動は無理せず~
スポーツの秋~軽い運動から始めよう~
親子でコミュニケーションじゃんけんゲーム~場所選ばず体も動かせる~
親子でコミュニケーション屋内遊び~運動通じスキンシップ~
家庭で「にぎりんピック」を~みんなで楽しく握力強化~
ケガをしたときのRICE処置~安静、冷却、圧迫、挙上~
中学生アンケート・学校部活動と地域クラブ~1、2年8割「部活動だけ」~
第5章 コロナ禍での子どもの健康を見つめ直す
新型コロナ流行下の子どもの生活~感染拡大で外遊び急減~
新型コロナ流行下の生活習慣~子どもの家事4割増~
外出と運動の頻度~新型コロナで大幅減~
コロナ禍の幼児の歩数~3~5歳児で最大6割減~
子どもの水分補給~マスクで渇き気付きにくい~
マスクによる熱中症を防ぐ~例年以上に水分補給を~
コロナ休校の影響~子どもの6割にストレス~
免疫力を高める生活・運動習慣①~自律神経のバランスが鍵~
免疫力を高める生活・運動習慣②~1日30分は歩こう~
免疫力を高める生活・運動習慣③~食事で腸の働き強化~
免疫力を高める生活・運動習慣④~自律神経整える呼吸法~
免疫力を高める生活・運動習慣⑤~「少しぬるめ」で入浴~
免疫力を高める生活・運動習慣⑥~睡眠不足は自律神経乱す~
あとがき
【著者紹介】
〔著者〕
山神 眞一